観光学部の学生たちは、日本の観光のこれからのために、座学だけではなく日本全国の地域に直接おもむき、地元住民や観光事業者から直接話を聞いて学んでいます。
そのようなフィールドワークの一つとして学生たちに人気があるのか、JRカレッジ。今年は北陸エリアの自治体とJR西日本、そして大学がチームとなって開催する「北陸カレッジ」として開催されました。
JR西日本・自治体・大学が連携し、若者視点を活用した地域活性化、旅行需要の喚起、学生の成長機会の創出を目指す産官学のプロジェクトです。これまで北陸、南九州、新潟、瀬戸内エリア等で毎年実施してきました。一連の取組みを通して、参加学生と地元協力者の間で交流が生まれ、地域との連携により、大学生による若者目線での旅行プランや地元の課題解決に向けたアイデアの提案、自主的な地元PRなどを展開してきました。 2023年度は再び北陸エリアを対象とした「北陸カレッジ」を実施します。
北陸カレッジの公式サイト
このJRカレッジに参加する学生たちは他大学はゼミ生中心で3年生や4年生ですが、本学からは主に1年生と2年生が参加します。なので、和歌山大学ではゼミ活動ではないのが特徴です。そして、木川が引率教員として担当することとなったのは、福井市。実は2006年から2015年まで福井工業大学で教員をしていたので、第2の故郷とも言える場所です。さらに福井市側の担当者は一緒にさまざまな企画を行なった市役所職員の方や、商工会議所には木川研究室の卒業生もいたり、と奇跡のような人間関係。
福井市班に配属となった学生たちは、初めはそこまで福井市の担当になったことに手放しで大喜び!という状況ではありませんでした。やはりそこは県庁所在地。あまり観光地としての情報は関西に届いてないのがその理由でしょう。半信半疑な中で福井市のことを調べ、9月19日から21日まで福井市を旅しました。学生たちは文字情報や写真だけではない、本当の福井を旅し、おいしい食べ物を楽しみました。この模様は以前の投稿でも紹介しました。学生たちは福井市の中心部から沿岸部まで、さまざまなところを旅しました。その模様はすべてはまだ完成していませんが、一部は以下の映像から見ることができます。
それから福井市の方々との議論を重ねて、11月に中間発表、そして12月18日にいよいよ本番、成果報告会に臨みます。福井市の担当者の方が見守るなか、大手旅行代理店やJR西日本、多くの自治体の方々がいるまえで緊張のプレゼンテーションに臨みました。
木川が和歌山大学に赴任したのが2015年。JRカレッジはそれよりも前、2013年から南九州カレッジが開催され、当初から和歌山大学も参加していたそうです。そして、JRカレッジは、北陸カレッジ、新潟カレッジ、そして昨年までの瀬戸内カレッジとフィールドを変えながらも続いてきました。木川も2017年ごろから参加するようになったと記憶しています。そして、観光学部として参加している大学は和歌山大学だけにも関わらず、一度も主要賞である最優秀賞、優秀賞になったことは一度もありませんでした。一度だけ、瀬戸内カレッジで自治体の人たちが選ぶセレクションで、新居浜市と組んだ時に自治体賞をいただいただけでした。最優秀賞、優秀賞は関西大学、神戸松蔭女子学院大学がほとんどの場合、勝ってきました。
福井市班が提案したのは「30代のパートナーのいない女子をターゲットとした一人旅旅行」。様々な日々のストレスから福井市の高付加価値観光体験を通じて、心身ともにリフレッシュしていく旅、題して「かいふくい」。提案の中では、一人旅の女性が、地元の人たちとどのように交流していくのか、その提案として「ふくいいね掲示板」「透明ポストの設置」「旅行者の思考可視化のためのサシェ」といった様々なアイデアを織り込んだものとなっていました。そして、地元の福井商工会議所が運営する「ふくのね」とタイアップした企画提案となり、発表後に審査員からの質疑応答の場面でも、その社会実装について好意的なコメントをいただきました。
10チームの発表が終わり、いよいよ発表の時間。「優秀賞、和歌山大学観光学部福井市班」とのアナウンスが流れた瞬間、学生たちの歓声があがります。福井市チームは優秀賞に選ばれました。2013年のJRカレッジが始まってから、はじめての和歌山大学観光学部の勝利です。
その後、受賞式が行われ、福井市班のリーダーをつとめた稲見君が喜びの挨拶をします。彼は昨年から瀬戸内カレッジに一年生として参加し、広島市とチームを組んで提案しましたが、賞をもらうことができていませんでした。
彼の挨拶の模様は以下の動画にあります。
受賞後の懇親会では、福井市の担当者と提案内容の実現にむけて何ができるのか、熱い議論が交わされました。2024年3月16日には、北陸新幹線は東京から金沢の先、敦賀まで延伸します。もちろん福井市にも新幹線がやってきます。そして駅前では再開発が急ピッチで進んでいます。このような変動の中、福井市の観光に役立つには何ができるのか。きっと、福井市班の学生たちはそれを考えていってくれることと思います。
文責 木川剛志(和歌山大学観光学部)
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