「観光」とは何でしょうか。
一般に観光とは、日常の景色から離れ、非日常の場所へと身を置くこととして捉えられます。しかし学術の世界では、観光はもう少し複雑な現象として考えられてきました。人は、ただ場所を訪れるのではありません。その場所について抱いていたイメージを携えて訪れ、実際の風景を見て、写真を撮り、語り、そして新たなイメージをつくっていきます。
本研究会では、こうした観光が生み出す「表象」について、より広く、そして深く考えていきたいと思います。
たとえば、「観光地」という言葉があります。
和歌山県の「白浜」と聞けば、多くの人が白い砂浜と夏の海を思い浮かべるでしょう。実際、現在の白浜では夏が繁忙期で、冬は比較的静かな季節となっています。
しかし、この「夏の白浜」というイメージも、もともとそこにあった不変のものではありません。かつての白浜は、温泉を中心として冬に多くの人が訪れる場所でした。そこで夏の観光を振興するための取り組みが行われ、長い時間をかけて「白い砂浜」「海水浴」「夏」という現在の白浜のイメージが形成されてきました。
つまり、私たちが当たり前のように抱いている「観光地のイメージ」は、歴史のなかでつくられてきたものでもあるのです。
「観光によってまちづくりをする」ということも、ある意味では、地域のイメージをつくる営みです。
しかし、まったく存在しなかったイメージを外から持ち込み、それを地域に定着させようとしても、簡単には根付きません。むしろ重要なのは、その土地にすでに存在していた風景、歴史、文化、記憶、暮らしのなかから「何か」を見つけ出し、それを現代の社会にどのように提示し、共有していくのかということではないでしょうか。
そこにあった「何か」を見つけ、それに意味を与え、社会に伝わるかたちへと編み直していく。
本研究会では、この営みを「観光と表象」という視点から考えていきます。
都市、建築、映像、メディア、歴史、文化、文学、社会学、地理学など、異なる領域の研究者が集まり、「場所はいかにイメージされるのか」「そのイメージはいかにつくられ、変化するのか」「観光はそこにどのように関わるのか」を議論する場にしたいと考えています。
第1回は、まず手探りの試みとして、木川研究室の博士課程の学生たちと議論します。
そして今後は、分野や所属を越えて広く発表者を募りながら、「観光と表象」をめぐる議論を育てていきます。
第1回 観光表象研究会 2026年9月29日(火)
15:00〜18:00
於 青山ビル(大阪市 北浜)
入場無料
ご参加される方は、以下のフォームから、お申し込みください。
プログラム
15:00–15:10 趣旨説明
木川剛志
15:10–15:25 青谷実知代
「芸術祭による地域資源の観光資源化プロセス―再発見・再解釈・再編に着目して―」
15:25–15:40 質疑・コメント
15:40–15:55 野津直樹
「地域芸術祭における回遊性評価手法としてのSpace Syntaxの可能性について」
15:55–16:10 質疑・コメント
16:10–16:25 吉本淳一
「忍者におけるコンテンツの変容、及び、新ジャンル創設の過程」
16:25–16:40 質疑・コメント
16:40–16:55 景梅
「要介護高齢者をめぐる観光表象の再構築に関する考察」
16:55–17:10 質疑・コメント
17:10–17:30 総括・全体討論

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